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「もうちょっとちゃんと着てきなよ。それじゃ寒いだろ?」


そう言いながら奏人は羽織っていたカーディガンを私の肩に掛けた。


「いっ…いいよ!大丈夫!走ってきたから暑いし。」

「汗かいて、それが冷えちゃうよ。
俺は大丈夫だからちゃんと着てて。」


こういう時の奏人は強い。
だから反抗する気さえ失せてしまうんだ。


「ねぇ、奏人…。」

「あ、待って。
先に謝らせてほしい。」


ピタリと奏人の足が止まる。
それに合わせて私も足を止めた。


「あたしだって謝りたい!」

「なんで菜々子が謝るの?」

「だって私、勝手に怒って…あんな風に…。」

「怒らせたのは俺だから、俺に非がある。
あんな風に怒らせちゃってごめん。
あと…言い方、悪くてごめん。
…泣かせて、ごめん。」


奏人の手が、私の目元に触れた。
さっきまで泣いていたから少し腫れぼったくて、瞼も重い。


「腫れてるし…。」

「だってさっきまで泣いてたんだもん。」

「…ごめん。」


奏人は申し訳なさそうに視線を下にずらした。

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