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「叶えられないんならどっか行って。
あんたたちに構ってられるほどあたし、暇じゃないの。」

「んだと…?」


そう言ってあたしの腕を強引に掴む男。


「ってぇ!誰だよてめぇ…!」

「晴輝!?」


あたしの腕を掴んだ男の左手を捻り上げたのは、残念ながら晴輝じゃなかった。
でも、知ってる顔…というか…


「陽パパ!」

「まったく、君たちも悪いけど挑発した梨亜にも問題があるから見逃すよ。
でも今後、女の子にこういう無理強いはしないこと。」


サラリと揺れる黄土色よりも明るい髪。
グレーの瞳が優しい。
そういう目、晴輝に似てて嫌になっちゃうな。


男の腕を離した陽パパがあたしの方に近付いてくる。
そして優しく微笑んだ。


「随分今日は荒れてるみたいだね。…晴輝と喧嘩でもした?」

「…別に喧嘩じゃないっ…。」

「てことは何かあったんだね?」


うー…バレバレだ。
陽パパは昔からこうだった。
あたしがモヤモヤしてる時はいつだって気付いてくれて、上手く話を聞いてくれる。


「…あたし、悪くない。」

「悪いか悪くないかよりも、梨亜が納得出来るか出来ないかが問題なんじゃないの?」


…まさに正論だ。

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