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「星に興味を持ってくれたこと、私は素直に嬉しいです。
だから、君ともっと星を見ていたいと思っています。」

「ちょ…夏原あんたどうしたの…?」

「どうしたもこうしたも、とりあえず正直に胸の内を話しているだけですが。」

「いやいや待ってよ!超展開すぎるでしょ!」

「そうですか?」

「そうでしょ!どう考えたって!」

「…まぁ、展開がどうかは知りませんが、私としてはあなたと星を眺めたいわけです。
というわけで、今夜はお付き合い願えますか?」

「へっ…?」

「今夜も星が美しいです。あなたには北斗七星を教えないと。」

「いやいやいや!あたし帰るよ!寒いし!寒いの嫌だし!」


そう言って階段の方へ行こうとしたその瞬間。
後ろから腕を掴まれた。


「…帰しません。」


ぐっと腕を引かれ、耳元で囁かれる。
…なんなの、こいつ!


「好きと嫌いは紙一重、ですよ。」

「紙一重?」


振り返った先には夏原の顔があって、少しだけ後ろにのけぞった。


「ええ。隣り合わせのようなものです。
あなたがこんなに嫌っている寒さも、星が、そして空が嫌いではなくしてくれるかもしれません。
それにそもそも、嫌い嫌いと意識していることこそが『好き』に繋がるものです。」

「…じゃあ、ブランケット返して。」

「正確に言えば私の持ち物ですから返して、ではなく貸して、ですね。」

「貸して!」

「喜んで。」


そう言うと夏原はそっとあたしの肩にブランケットを掛けてくれた。

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