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汐織は去年から教師としてこの小学校に配属された、2年目の新人だ。
去年は3年2組、そして今年は4年2組の担任になっている。
4年2組は全児童28人で元気いっぱいの子から静かな子、色々問題アリな子とバラエティー色強めなクラスである。
もっとも、2年目ということで顔と名前は一致しているし、どの子が何が得意などといった基本的なことはもう分かっているので、子どもたちのことで大きな不安はない。
…まぁ、4年生の授業をするのは初めてであるから毎日が勉強だが。


そして敵対心…ではなく苦手意識のある齊藤は、汐織と同じく4年生の担任である。
4年生は2クラスしかないため、4年生全体の行事等では絶対に協力が必要となる。
年は確か5つほど上らしいとは前に聞いた。
汐織から話しかけることはほとんどといっていいほどないし(事務的なことは聞くが)、プライベートに踏み込めるはずもない。
よって去年からタッグを組んでいるはずなのになかなか齊藤という人間を掴めないでいる。


「…難しいんだもんあの人…。」


廊下で資料をファイルに挟みながらそう呟いた。
もちろん本人が近くにいないのは確認済みだ。


「浅野先生ーっ!!おはよーございます!!」

「おはよう、陽くん、晴香ちゃん。」

「おはようございます。」


元気いっぱいなのは戸田晴香。学級委員女の子代表だ。
落ち着いていて勉強もスポーツもよくできる男の子は五十嵐陽。陽も学級委員である。


可愛い教え子の顔を見たら、齊藤のことなんてぶっ飛んでしまうほど、汐織は子どもたちが大好きである。
というわけで、一瞬にして頭が『対齊藤モード』ではなく『教師モード』に切り替わった。
―――こうして1日が始まる。

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