7 STARS
* * * * *


「せんせぇー華音ちゃんの給食袋がなくなっちゃったんだってー!!」

「え?」


アクシデントはいつだって起こる。
そして突然起こるからこそアクシデントなのだと1年の教師生活を終えた今なら分かる。


「ランドセルの中には入ってなかった?」

「うん…。」

「ロッカーにも?」

「ない…。」

「華音ちゃんは忘れ物しないしねぇ…。ちゃんとお家からは持ってきたんでしょう?」

「うん。」


華音ちゃんは忘れ物をしない。それくらいしっかりした子だということはもう分かってる。


「今はもう給食の時間だから、華音ちゃんには先生のとっておきのランチョマットを貸してあげるわね。」

「わーいっ!!」

「えぇーずるい!!紗和にも紗和にもー!!」

「だって紗和ちゃんはあるじゃない、可愛いのが。」

「可愛いでしょー!!今日のはこの前のお休みの日に買ってもらったの!!」

「あ、ホントだー新しい!!」

「華音ちゃんも今日はこれで我慢してね。後で一緒に探そうね?」

「うんっ!!」


…どこから探したものか…とも思いながら、汐織は給食の指導に入った。


< 39 / 268 >

この作品をシェア

pagetop