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「あの公園寄るぞ。お前の自転車回収する。」

「あ、ありがとうございます。あれがないと、学校に来るの大変で。」

「車はないのか?」

「あー…はい。お金ないんで。」

「新米だもんな。手のかかる。」

「新米なのは認めますけど、手のかかるは余計です!!」

「手がかかるだろうが、実際。俺がどれだけ日々苦労してるか知ってんのか?」

「そんなに迷惑かけてるつもりはありません!!っていうか…かけてない…と願いたいです。」

「いきなり弱気だな。身に覚えがあるからか?」

「あるものもあります…。」

「…自覚ないバカだったらどうしようかと思ったけど、意外とそんなにバカじゃないのかもな、お前。」

「バカバカ言わないでくださいよ!!今後迷惑かけないように頑張りますんで!!」

「ま、新人の頃は迷惑かけんの当たり前だけどな。分かんねぇし。色々と。」

「え…?」


つい間抜けな声が出たのは、齊藤らしからぬ言葉が返ってきたせいだ。
いつも嫌味が3セットくらいついてきてなおかつ叱られるのに、今はなんだか違う。
…フォローされてるの、私?


不意に車が止まった。
さっきの公園だ。自転車が止まっている。
齊藤が車を降りた。そして振り返って汐織を見る。


「お前はここにいろ。」

「あ、手伝いますよ。」

「足元覚束ないやつが来ても足手まといだ。」


そっけなくそう返され、汐織は黙り込んだ。

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