7 STARS
「えっ?これどこで…。」

「お前を探してた途中で見つけた。」

「え?私、先生に探されてたんですか?」

「お前が職員室飛び出して帰ったって竹谷先生に聞いたからな。
不審者が最近出てるってことも忘れてるだろうと思って探した。」

「あー…そうだったんですが。
…重ね重ねすみません。ホント考えなしで。」

「本当にな。でも…。」

「?」

「お前の熱意は時々見習わないとなと思わされる。」


それは思いもしない方向からの褒め言葉だった。
どんな顔をすればいいのか分からず、汐織は目を丸くして齊藤を見つめた。
齊藤といえば少しだけバツの悪そうな顔をしている。


「…時々、だけどな。」

「そーやってすぐ余計なことを!!」

「とにかく休め。分かったな。」

「分かってますっ!!」


ちょっとむくれていた汐織の頭に、そっと齊藤の手が乗った。
少しだけポンポンと軽く撫でられる。


「…じゃあ、おやすみ。」


…うわぁ…初めて見たよ、普通の『笑顔』。
思わず口に出してしまいそうなくらいの衝撃だった。
汐織に対して笑顔など決して見せないだけに、今の優しい微笑みに何も言えなくなる。


「おやすみなさいっ!!」


無理して声を張り上げてみた。
動揺が伝わってしまいそうだったからだ。


「ああ。」


短い返事が返ってきたのと同時にパタンとドアが閉まる。
汐織はその場にへなへなと座り込んだ。


< 61 / 268 >

この作品をシェア

pagetop