7 STARS
「でも…ホントに毎回ありがとうございます。
最近の特殊な例もそうですけど、学校とかでも齊藤先生が一番私のピンチを救ってくれるんですよね。
なんかもう…お世話になりっぱなしで…。」


…悔しい。迷惑しかかけれない自分が。
何の役にも立たないし、ダメなところばっかり見せてる自分も嫌だ。
悔しくて不甲斐なくて、涙が出てくる。
…言葉に詰まった。涙が声の邪魔をする。


「…なんで泣くんだよ。」

「…不甲斐なくて…。」

「どっか痛いとかそういうわけじゃねぇんだよな?」

「しいて言えばっ…心が…痛いです。」

「そうか。じゃあ…。」


隣に座った齊藤が赤くなっていない方の腕を引いた。
汐織の顔はすとんと齊藤の胸の中に収まる。


「え…?」

「ハンカチなんて持ってない。今貸せるのはこのくらいだ。」


言い方はすごく雑でぶっきらぼうだ。
なのに優しく聞こえるのはどうしてなんだろう?
胸がきゅんとして苦しくなるのはなんで?
そんなことを考えながらも涙は止まらなくて、有難くその胸を借りることにした。


小さく嗚咽が漏れた。
それに気付いた齊藤は右手で背中をぽんぽんと叩き、左手で優しく汐織の頭を撫で続けた。


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