群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
にっこりと微笑む

二年生担当の三崎先生が立っていた。


「毎日、遅くまでここで勉強してるよね?

勉強熱心だと思っていつも見ていたよ。」


「…………はぁ。」



──三崎先生は

うちの学校のアイドル。


サラサラの髪


長身で、物腰柔らかそうな外見



それに
…ここ女子校だから王子さまキャラになってるみたい。


いっつも女子生徒に囲まれてる。



もちろん

私は興味なかったけど。



私の学年の担当じゃないし、私は部活も入ってなくて、接点ないのに。


地味な私を知ってることに戸惑ったけど


気を取り直し、先生の質問にテキトーに返事をして、

「──…じゃあ、私はこれで失礼します…」



筆記具を片付け


逃げるようにその場を去ろうと…



ガシッッ!


「清宮さん、私のこと、お忘れですか?」


左腕を掴まれた。



「──…え??」



先生は、フッと笑い、


「何年前になるかな?

五年くらいかな…。


…私たちは出会ってるよ。

思い出せるかな?」



……五年前



先生の顔を横目で見たけど…。


「その顔は…。


私のことを忘れてしまったみたいだね。」



それでも腕を離してくれない。



「いい加減離してください!」


キッと先生を睨む。


ショックだなぁ。

私は君が入学してきて運命を感じたのに。」


そう言うと、左腕を引っ張られて


先生の胸に引き寄せられた。

「…ちょっ!ホントにやめてください!!」


「──こうすれば、思い出してくれると思って。」


離すどころか、


ますます力が入る。


「あのときも、抱き締めたよね」



──……?!





先生の顔を見上げた。



「テニスの天才少女と言われた


清宮美桜サン」



…意味深な笑みを浮かべた
先生の顔がこわかった。


< 143 / 270 >

この作品をシェア

pagetop