群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜
「……大介?」


俺は小声で呼んだけど

俺の声なんか耳に入ってないようで


じっと一点を見つめてた。


「彼女は私の元教え子だよ。」


ふっと笑う先生。



「え〜っ!マジっすか!!…"教師"と"生徒"の恋愛って、響きがエロいっすね!羨ましいっす!!」


アホなことを言って、ますます興奮してる真。



無言の大介。




大介の様子を見てたセンセが


衝撃的なことを口にした。



「…まぁ、私より坂本のほうが彼女のこと知ってるんじゃないかな。


─……な、坂本?」

センセは大介を見た。



センセの顔は、笑ってたけど、目が冷ややか、だか…


大介の……?!



「なに!なに?!

大介、センセーの奥さんと知り合いなの?!」


大介を見る。


…大介は相変わらず無言のまま。


「……美桜。いつまで下を向いてる?みんなに失礼じゃないか?顔を上げなさい」


先生は隣に座っている彼女に顔を上げるよう促した。



しばらく彼女はうつ向いたままだったが、ゆっくり顔をあげ


正面をみた。


センセの奥さんは、整った顔立ちに眼鏡が合って、赤い唇は白い肌に一層はえている。


……言葉が出なかった。


頭の中が真っ白って…

こういうことを言うんだろうか?





目の前にいるのは

忘れたくても忘れられなかった


俺の前から、
俺の腕の中から消えた…



───初めて、大事にしたいと思えた女の子。


…沈黙を破ったのは、やはり真で、


「やべ〜!奥さん、ちょー綺麗ですね!!」


「そう言って貰えると、私も鼻が高いよ。なぁ、美桜?」


彼女はちょっと目を伏せて
「──…そうですね。
ありがとうございます。」


彼女の声が俺の心臓を震えさせる。


もう一度、彼女の顔をよく見たくて…目を向けるけど

彼女は俺と目を合わせなかった…。
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