薫風-君といた軌跡-





「あんた一年?」



先に口を開いたのは彼女だった。


そしてまたいきなり風が止んだ。



少し高圧的なその口調に
イラッとはしたが
女の子相手に…と冷静になった。




「一年。入学式抜けて来た」



俺もタバコに火をつけた。



彼女はまた俺から目を反らして
まっすぐ向いてタバコを吸い始めた。



なんなんだろ、この女。


なんか悔しいが可愛いことは確かだ。




また、無音の時が来る。




「あ、あのさ。君は何年なわけ?」


今度は俺が。

唇が渇く。
心臓がやけにうるさかった。




彼女はタバコを押し付けて火を消すと
コンクリートブロックから飛び降りた。




「…関係ない」



低く、静かな声だった。


彼女の存在が
一瞬で俺の全身に突き刺さった。




慌てて振り返ったけど、
彼女の姿はもうなかった。




「なんなんだよっ!あの女!?」



コンクリートブロックを思わず蹴った。




爪先がジンジンと痛む。




くそっ…。




けど、なんだろ。


あの子…

懐かしさを感じた。




< 16 / 16 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

シュガー × シュガー
SaO/著

総文字数/28,500

恋愛(その他)62ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
─好きだった人に もう触れることができない─ その苦しみを あたしは味わったことがなかった 「先生、 過去と"イマ"を混同させないで」 気づいたときにはもう、 何もかも手遅れでした 自動車学校で出会った その人は つらい過去を背負っていた 教官×生徒の もどかしい恋愛・・
ひこうき雲
SaO/著

総文字数/4,689

恋愛(その他)7ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
大好きな人がいながら あなたを好きになるとは 夢にも思っていなかった ねえ、 "好き"って何? 目で追ってしまうのは あなたが"好き"だから?

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop