薫風-君といた軌跡-





──…



「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。これから本校の生徒となる皆さんは…──」





ダルい、ダルすぎる。


式事は嫌いだ。
入学式、卒業式…特に意味も感じられない。


偉い人だかなんだか知らないが
俺らの入学を祝ってるのだとしたら
早めに話を切り上げて欲しい。


とうとう痺れを切らした俺は
椅子と椅子の狭い間をすり抜け、
適当な先生に声をかけ
トイレまで案内させた。



一応トイレの中まで入り
その先生が式に戻るのを確認した俺は、
体育館前の非常口から
外への脱出に成功した。




風は乾ききっていて
空はカラッと晴れ渡っていた。




「タバコ、タバコ…」



…あれ?





ちょうど日陰の体育館裏。


コンクリートブロックに座って
タバコを吸っている……女の子。



まさか先客がいたとは。




綺麗な茶色のセミロングの髪。
丈の短いスカート。
そして、タバコ。


まさか…先輩?



と思ったが
今日は新入生しか登校しないはず。



このこも俺と同じように
式を抜け出して来たのだろうか。





次の瞬間、
その大きな瞳が
俺を捉えた。




整った、小さい顔。

決して濃くはないが
化粧映えのする顔だった。



…モデル?




髪色がとてもよく似合っている。




背も小さくて細身の彼女と
しばらく俺は
無音の中で見つめ合っていた。







少し、風が出てきた。



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