薫風-君といた軌跡-
──なな…な、な……那…
「那菜っ!?」
飛び起きた俺は
汗をびっしょりかいていた。
今、今確かにあいつが
懐かしい声で
俺に話し掛けていた。
あいつが…那菜が…。
リュウがかけてくれたらしい
大判の青いタオルケット。
目の前に転がるビールの缶。
パラパラこぼれているナッツ。
携帯を見ると
もう昼の12時を過ぎていた。
メールも着信もなし。
重たい体を起こして立ち上がり
ヨロヨロと空き缶とごみを片付けた。
頭がズキズキと痛む。
やべ、飲みすぎたかな。
那菜の声が
今も強く頭全体に響く。