トリップ少女

「カレンを放っておくのはあまりに危険すぎる。そこで、カレンが地上に行かないようにしてほしいのだ。」



しばしの沈黙



人魚たちは皆沈痛な面持ちをしていた。



さっきの気の強い赤毛の人魚が言った。



「お言葉ですが王様、地上に行かせないというのはあまりに酷じゃありませんか?」



「そうです。カレンに限らず、私たちは皆成人して地上の世界を目にする日を心待ちにしていました。」



「空の青さを見てみたいのです。」



口々に人魚たちが王に苦言を呈した。



「かわいそうだとは思うのだが…これもカレンのためなのじゃ。」
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