トリップ少女
「分かりました。」
あ、と思い出したようにその人魚が提案した。
「あの、若菜も一緒に連れて行ってよいでしょうか?」
「記憶喪失の若菜を連れて行って大丈夫だろうか?かえって足手まといになったりしないか?」
「いいえ。むしろ記憶が戻るきっかけになるかもしれません。」
「よろしい。若菜は成人だったかね?」
急に話を振られてびっくりした。
・・・私って人間界では未成年だけど、人魚的にどうなの??高校生ってどうなの??
「あ、あの、わたしは、その・・・」
「王様、若菜は記憶喪失です。年齢も覚えていませんわ。」
「なんと、年齢も忘れてしまったのかね。」
「えぇ。しかし若菜は成人です。問題ありません。以前私と地上に出たときに王様に空の青の美しさをはしゃぎながら語っていたのをお忘れですか?」
「そんなこともあった気がするな。よいだろう。二人で行きなさい。」