月夜の太陽
ロナウドは走って私に近づくと、何も言わずに私の体を抱きしめた。



「ロ、ロナウド!?」

『ルナ』



抱きしめたまま喋るものだから、ロナウドの息が耳にかかり突き飛ばしてしまいたいと思ってしまう。


おまけに顔も見えないから、何を思ってこんな事をしたのかも分からない。



『近いうちにまた会って頂けますか?』

「わ、わざわざそんな事聞かずとも、いつでもいらして下さい!!」



早く離れてほしくて、思ってもいないことがいつも以上にスラスラと口から出てくる。



『先程のお話ですが……』

「…ロナウド?」

『次回お会いした時にゆっくりお話致しましょう』



ゆっくりと体を離したロナウドの顔は、力が抜けたような何故か穏やかな顔をしていた。


『それでは』と言うと、ロナウドはまた走って馬車に乗り込んでしまった。




また、私の…私たちの状況が変わろうとしている。


ロナウドの話を聞いて、良い方に変わるのか悪い方に変わるのか、今の私には全く予想がつかない。


ロナウドに対して、次はいつ来てくれるんだろう…なんて思ったのは初めてだわ………。






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