月夜の太陽
「せっかくだから私たちも参加しましょうよ」

『いいの?』

「いいに決まってる。ここは敷地内だし、民と接してはいけないなんて決まりないもの」

『そうだね』



私たちの雰囲気は驚くほど良くなった。


良くなったからと言ってこのまま恋人になるなんてことはまずないだろう。



「ロナウドは自分の国の民と触れ合うことはあるの?」

『…ないよ。だからルナと一緒にいればいるほど驚くことばかりだ』

「ビリー様は快く思われないかもしれないけれど、ロナウドがここの生活に馴染んでくれると嬉しい」

『ありがとう。ルナのお陰で早く馴染めそうだよ』



私は部屋の窓を閉め、飲み終えた空のティーカップを片付けた。


ロナウドもいつしか手伝ってくれるようになった。


本当は繊細で優しくて、思いやりに溢れている人だったんだと最近よく思う。



「行きましょう」

『あぁ』



私たちは笑って並んで部屋の外に出た。


やむをえない場合でない限り、決して腕を組んだり手を繋いだりすることはない。


それが私たちの関係だから。





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