月夜の太陽
ロナウドと並んで外に出ると、お店の前を通ったりすれ違う度に深くお辞儀をされてしまう。


しょうがない事なんだろうけど、変装して街に行っていた時と比べると悲しい気持ちになった。


それに、知った顔も何人か見かけたが、お店で働いていたときの様に気さくに話しかけることも出来ない。



『ルナ』



ボーっと歩いていると、ロナウドに話しかけられハッとした。


横を向くと、ロナウドが一つのお店の前で足を止めていた。



「何か見つけたの?」

『これ、ルナに似合うと思う』



そう言って手に持ったブローチを私の胸元に当てるロナウド。


ゴールドの三日月に一つだけキラキラしたストーンが埋め込まれたものだった。



『ローズ様に教えてもらったんだよ、ルナの名前の由来を』

「いつの間にお母様とそんなに仲良くなったの?」

『ルナがご飯に夢中になっている時だよ』



その時の様子を思い出しながら可笑しそうに喋るロナウドを見て、私まで笑ってしまった。





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