月夜の太陽
温室に入ると、色とりどりの花や草が生えていた。


我が家の温室とは全然雰囲気が違う。



『母上』



ロナウドの声に気付いたイエラ様はゆっくりと顔をこちらに向け、私たちを見つけるとフワッと柔らかい笑みを見せた。


上品で可愛らしい方だと思った。



「あらロナウド、ルナ様を連れてきてくれたの?」

『あぁ、そうだよ』

「こんなところまでわざわざご足労頂き、誠に有難うございます」



椅子から立ち上がると、イエラ様はしなやかな動きで頭を下げてくれた。



「いえっ、ご挨拶が遅くなってしまい申し訳ありませんでしたっ。ルナ・エメラルディアと申します。宜しくお願い致します」



挨拶し終わると私も慌てて頭を下げた。


緊張している私を尻目に、ロナウドはクスクス笑っている。


そんなロナウドの手をそっと抓った。



『痛ッッ!!』

「笑ってるロナウドが悪いっ!!」





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