月夜の太陽
母さんは意を決して俺にこの話をしてくれたんだろうと思う。


でも、俺は片目までが金色になってしまった事を何故か言えなかった。


言えば心配をかけてしまうと思った。



『ソル、俺とお前はずっと兄弟だし、俺たちはずっと家族だよ』

『あぁ、俺は母さんの子供で、兄貴の弟だ。姉貴までできたしな』

「そうだよ!!ソルは私の可愛い弟だよ!!…ニコリともしないし……可愛くはないかも」



エレナの言葉に張り詰めていた空気が一気に和らいでいった。


確かにこんな弟でも笑顔で面倒見てくれるのはエレナぐらいかもしれないな。



「何があろうと、私が守ってみせるよ。大事な我が子だからね」



胸を張ってそう言い張る母さんに呆れてしまった。



『何言ってんだよ。俺たち兄弟が母さんとエレナを守るんだろ』

『そうだよ。母さんのお陰で逞しく育ったんだから、僕たちが2人を守るよ』



母さんとエレナは顔を見合わせ笑っていた。


この時の俺たちは、まさか事態が急速に変わっていくなんて夢にも思っていなかった。






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