月夜の太陽
「カインと出会って数年が経った頃、伯爵が誰かと話をしているのを聞いてしまったの。カインが純血としての自覚、そして力が目覚めてしまう前に剥製にしてしまおうと話しているのを……」



そんな事を考える奴がいるなんてあり得ないと思った。


神にでもなったつもりか?


同じバンパイアを買い、弄び、最後には剥製として飾る……そんな事誰に聞いても許されることではないと答えるだろう。



「その話を聞いて私はカインを連れて急いで屋敷を出る準備をしたわ。その時カインに貴方は純血だと話をしたの……あの子は話を聞いているだけで理解は出来ていないという顔をしていたわ」

『カインが純血だというのは初めから知っていたんですか』

「あの子はちゃんと純血として金色の部分があったから、見て直ぐに分かったわ。瞳は両目とも銀色だったけれど、髪の毛は綺麗な金色だったから。お人形の様に可愛らしい子だと思ったわ」



最初は俺に話すように喋っていたエリーだが、今は俺とカインに話しているような喋り方になっていた。


まだ完全に感情を押し殺していなかった頃のカインはこんなに素敵な人と一緒にいたのかと思うと、少しは幸せを感じていられたんだろうなと、思った。


伯爵に買われてエリーのような人が傍に誰もいなければ、ただの生き地獄だっただろう……。






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