月夜の太陽
ベッドの中で、肌が触れ合い恥ずかしさと幸せを感じながら他愛もないお喋りをする時間が好き。


私だけしか知らないソルの優しい顔や仕草。


愛しくて堪らない。



「エリーさんってどんな人?」

『芯のある強い女性だった。少しローズ様に似ている気がした』

「お母様に?」

『外見は違うけど、心が広くて温かいところが似ている気がした。だから父はローズ様に惹かれたのかもしれない』



まるで自分の事の様に泣きそうな、切なそうな表情を浮かべるソルに寄り添うようにくっついた。


引き締まった胸板が頬に触れ、鼓動が聞こえる。



「子供の頃よくカインのお墓に行っていたわ。お母様はいつも静かに目を閉じて手を合わせてお話しているようだった。だから私もリオも訳が分からないまま同じように手を合わせていた」

『父のこと、ローズ様からはなんて聞いてたんだ』

「命の恩人で、とても大切な友人だって言ってた。お父様はライバルだと言っていたわ」

『………そうか』



微笑むソルの顔を見たら胸が切なくなって、涙が溢れた。


父親だと認めなくても認めても複雑な思いが消えるわけじゃない。


私の顔を困ったように見たソルは何も言わずきつく抱きしめてくれる。


ソルの腕の中がどれだけ落ち着く場所なのか知ってくれているからだと思うと、嬉しくて涙は止まることなく暫く流れ続けた。






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