月夜の太陽

戦いの最中

暗部とジェイドおじ様は一足先に暗黙の森へ向かった。


大丈夫だと、必ず皆無事に帰ってきてくれると信じているけれど、不安は消えないのか送り出す時に交わした抱擁は中々解くことができなかった。


そんな私をジェイドおじ様は笑いながら力強く抱きしめてくれた。


そしてみんな今から遊びに出かけるかのような顔をして行ってしまい、逆に励まされてしまい顔では笑顔を作りつつも申し訳ない気持ちで一杯になった。



『そんなに不安そうな顔をするな』

「……そんな顔してる?」

『してる』

「ごめん………」



私もそんなにゆっくりしてはいられない。


どうやら近々闘技場に移動しなければならないらしい。



『俺も正直心配だ。でも俺は俺の仕事を遂行するだけだ。みんなが帰ってきた時にこっちが失敗してたら元も子もないだろ』

「そう、だよね」



失敗……さらっと口にした言葉ではあるが、失敗は死を意味する。


私たちが計画を失敗すれば、民たちは何も知らないまま苦しみ、死ぬことになる。


街で働いていた時に触れ合ったみんなの顔が鮮明に浮かび、それだけは絶対に避けたいという思いが強くなる……自分の命に代えても。







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