月夜の太陽
お昼に顔を見せるお日様はいつもと変わらず元気に光っている。


私に元気をくれているんじゃないかと勘違いしてしまうほどに。



「ルナ様、ドレスはどれになさいますか」

「今日は動きやすいものがいいわ。私も何があるか分からないから」

「………ローズ様と同じ事を申されるんですね」

「え?」



たくさんのドレスから目線を外し、ラキの顔を見ると泣きそうな笑みを浮かべていた。


使用人たちは今回の件は何も知らされていないが、女官長のカナリヤと副女官長のラキにはちゃんと話をしている。


万が一の時は使用人の事は2人に任せなければいけないからだ。



「ローズ様も動きやすいものをと仰られて、膝丈のワンピースドレスを選ばれました。お靴もヒールの低いものをと………」



目に涙をためながら、零さないようにと必死に堪えながら話すラキに笑顔を見せた。



「私もそうしてくれる?いつもみたいに可愛く着飾ってくれると嬉しい」

「ッッ……かしこまりました」



ラキがドレスや靴を選んでくれている間、私は鏡で自分の姿を見詰めていた。


今日だけは泣き虫な自分を封印しよう……そう心で思いながら。






< 390 / 471 >

この作品をシェア

pagetop