月夜の太陽
荷物をテーブルの上に置いた彼は私の隣に腰を下ろした。


いろんな大きさの箱があり、まじまじと見ていたらロナウドに可笑しそうに笑われてしまった。



『気になるなら開けてみたら?』

「えっ…いいの?」

『全部ルナのだからね』

「私の?」



一番大きな箱を開けると中にはホールの苺のケーキが入っていた。


チョコレートで出来たプレートには"お誕生日おめでとう"と書かれていた。


そうだ……今日は私とリオの誕生日だ。


基本的には18歳までしかお祝いをしないからすっかり忘れていた。



「ありがとう。自分でも忘れてたのによく覚えてたわね」

『辛いことを沢山経験したんだから、これからは楽しいことも沢山経験しないとね。20歳の誕生日おめでとう』

「年齢まで知ってるなんて本当驚きだわ。19歳の誕生日は何もしなかったから不思議な感じ」



ソルは私の誕生日なんて知らないし、私もソルの誕生日を知らない。


今になってみればそんな話をしなくて良かったと思う。


想いだけでこんなにも心が苦しいのに、日にちや思い出にまで縛られたくない。


もう十分苦しいのに、これ以上苦しい思いをするのはまっぴらごめんだわ。







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