月夜の太陽
長方形の箱を取ろうとしたらロナウドがその隣の一番小さな箱を取り私に手渡した。



『こっちから開けてほしい。最後の一つは明日のパーティーの前にまた一緒に開けたいんだ』

「分かったわ。明日までお楽しみを取っておくのね」



笑顔で箱を開けるとそこには三日月の形をしたゴールドのイヤリングが入っていた。


耳たぶに収まるほどの大きさで、シンプルなデザイン。



「付けてもいい?」

『勿論だよ』



両耳に付け、顔周りの髪の毛を手で持ち上げロナウドに笑って見せると、彼も零れんばかりの笑顔で返してくれた。



『よく似合ってるよ』

「ありがとう。明日着るドレスにも合いそうだわ」

『ブローチと被ってしまうから違うデザインのものにしようと思ったんだけれど、ルナの顔を思い浮かべていたらやっぱり月にしようと思ってこれにしたんだ』



望んでいた穏やかな時間が今ここにある。


目の前にいる彼が、彼じゃないだけ。


だけど街に戻ってしまった彼と会う事はきっともうないだろう。


会ったとしてもあんなに最低な態度を取ったのだから、彼は私のことを軽蔑し嫌いになってしまったに違いない。


そう考えるだけで心が幾分心軽く……マシになるような気がする。







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