月夜の太陽
部屋のドアをノックしたが返事はなかった。


それでも気にせず中へ足を踏み入れた。


部屋の中を見渡すがルナの姿はない。


だけどルナの気配は確かにこの部屋の中で感じ、ベッドの上の布団が盛り上がっていた。


俺は真っ直ぐベッドへと足を進め、ベッドの端に腰掛けた。



『泣いてるのか?』

「…………」

『いつまでそうして不貞腐れているつもりだ』

「…………」



布団の中からは何の音も聞こえてこないという事は、どうやら泣いてはいないようだ。


布団の上からルナの体に触れ、体のラインに合わせて手を動かす。



『出てこないつもりか?なら話もできないな。俺は店に戻る』



ベッドから立ち上がろうとしたとき、布団から手が伸びてきて腕を掴まれた。


もぞもぞと布団が動き、頭が少し出てきたのを見て思わず笑ってしまった。


そんな俺の態度が気に障ったのか、顔を向けてきたルナは真っ赤な顔をして睨みつけてきた。


だがそれは逆効果で、その顔を見て更に笑ってしまった。







< 469 / 471 >

この作品をシェア

pagetop