月夜の太陽
ここが真っ暗でよかった。


バンパイアだから暗くても視界に問題はないけど、明るいよりはマシ。


私は顔に付いた涙を拭いソルに笑顔を向けた。



「もう大丈夫!!ありがとう」

『何かあれば遠慮なく言えよ』

「////」



はじめて見た。


ソルの笑った顔。


でもその笑顔は一瞬でいつもの無表情に変わってしまった。



『仕事できるか』

「う、うんッッ!!」



思いっきり頷いて返事をすると、ソルは私の頭をポンポンと叩き背を向けてお店に向かって歩き出した。


私はソルの後姿を見ながらお店の中へ足を進めた。


ソルの後ろ姿を見ながら、もう一度あの笑顔が見たいと思った。





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