シンデレラになりたくて~エリート専務と秘密の恋~
「また、泣く」

圭吾がクスクス笑いながら温かい指で涙を拭ってくれる。

何度、こうして彼に涙を拭いてもらっただろう。

だけど、今、ポロポロと滴るそれは、今までの冷たいものではなく、温かい。

耳元で彼が小声で囁く。

「瑠奈、早退届け、書いて。
俺が判を押すから」

「!」

驚く私に彼はパチリと片目を瞑る。

「不良専務っ」

思わず私が呟くと彼はフフッ、と笑った。

「だって、ここじゃ、ねぇ?」

ハッとして周りを見渡すと、大勢の社員が私達を取り囲んで事の成り行きを見ている。

や、…どうしよう。

「今更、遅い。
もう、逃げられないよ?」

そう言って彼はニコリと魅惑的な笑顔を見せた。



< 120 / 122 >

この作品をシェア

pagetop