シンデレラになりたくて~エリート専務と秘密の恋~
そうなのかしら…。

いいえ、違うわ。

二年前から、あの人を初めて見た、あの日から、私の心の中には彼しかいない。

叶わない想いに翻弄される毎日から…私は逃げようとしているだけなの。

はあ、とため息をついた瞬間、肩をポンッと叩かれる。

「……?」

振り返ると田村さんがニコニコしながら立っていた。

「瑠奈ちゃん、ちょうど良かった。俺も今、終わったんだよ。」

「田村さん」

この笑顔が好き。

優しく響く声が好き。

…だけど、彼に対して切なく沸き起こる感情は全くない。

あの人に対して感じるような。

私、どうかしてるわ。

田村さんに何も不満なんてない。むしろ優しすぎるほどなのに。





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