シンデレラになりたくて~エリート専務と秘密の恋~
彼は首を振って俺を制する。

え、だって、言い寄られているのは、瑠奈だろ!?

何だかよく分からないけど、俺のせいで。

田村は再び俺の手を掴むと、また引っ張りつけて俺をその場から離そうとした。

「……!おい、田村くん、」

彼は無言で俺をフロアの中心まで連れて来ると、ピタ、と立ち止まった。

「田村くん、瑠奈を助けないと」

俺が慌てて言うと、田村は俺を振り返り真っ直ぐに視線を向けてきた。

「今、専務が出ていくと、返って彼女達の反感を買います」

え?…あ。

「しかし…」

俺が言いかけると、彼は突然、声を荒げた。

「遊びなら、瑠奈には近付かないで下さい!!
あなたの様な人と一緒にいると、他の者の嫉妬や、やっかみを全て受けなければならないんです!!

瑠奈が辛い目に合ってもいいんですか」

俺は彼の話を聞いて愕然とした。



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