ちぐはぐ遠距離恋愛
「もしもし、葵先輩?」
《もしもし真白ちゃん?》
聞こえてきた声は、
男だった。
「な…んで、高杉先輩が……っ」
《ごめん。今アオから電話か『あたしは貸してないっ!こらコウ!返しなさい!!!』》
先輩の声の後ろで葵先輩の怒鳴り声が聞こえた。
どうやら高杉先輩は、葵先輩の携帯電話を奪って勝手にあたしに電話してきたらしい。
《あのさ、真白ちゃん…》
「はい」
《あの時、
『コウ!真白ちゃんを困らせないでよ!!』
あんなこと言ってごめん…》
「あたしの方こそ…すいません」
《真白ちゃんは悪いことしてないよ。だけど、お詫びも兼ねて…一回だけ会えないかな》
「え……っ」
《あっ!待てアオ…っ
『もしもし真白ちゃん?コウの言うこと断っていいからね?気にしないでフッちゃいな!
コウもそれ覚悟してるんだから』》
葵先輩は優しく言ってくれた。
あたしは『もしもし』と受話器に話し掛けた。
思いは、決まっている。
先輩は、すこしだけど、あたしを励まして…笑わせてくれたから。
《あ、もしもし》
「高杉先輩」
《ん?》
「会います。あたしも、ちゃんと言いたいことがあるから」
告白が、
どれだけ勇気のいるものだか。
あたしは知っている。
顔を真っ赤にして、真剣な顔つきで必死になって…
あたしを好きになってくれた高杉先輩。
その思いは無駄にできない。
あたしは、ちゃんと自分の言葉でお返しする。
そう決めた。