ちぐはぐ遠距離恋愛
そうされて初めて、葵先輩は…気づいたんだって。
どんなに高杉先輩が身近な存在で、
どんなに高杉先輩が葵先輩を安心させていたかを。
「気づいた時には、もう遅かったって思ったよ。
でもやらなきゃいけないことはわかってた」
(やらなきゃいけない、こと…)
「どうしても謝らなきゃ、って。それだけは何があってもあいつにしなきゃって…。
だからあたしは隣の家にお邪魔したんだ。
コウのお母さんは笑顔で出迎えてくれた。
あいつが部活から帰ってきたら、あたしは外に出て『ごめん』って一言だけ謝った。
コウはそれを聞いて、いつものように幼い笑顔で『アオ』って呼んでくれた。
それから前みたいにこんな仲良い関係に戻れたんだよ」
「そうだったんだ…」
葵先輩たちも困難を乗り越えてきたんだ。
「コウがいないと…って気づいたすぐ後は、あたし何て馬鹿なことしたんだろうって思ったよ」
「ですよね。あたしだって…「でもね、今は違うよ」
「え?」
「確かにあの時、あんなことしなければコウと離れなかったかもしれないけど…
それじゃあコウの大切さに気づけなかったから…」
「あ、」
あたしも言われて気づかされた。
「だからね、どんなことだって生きているうちにあることは必要なことなんだよ。
馬鹿だ阿呆だって思うようなことはあっても、“無駄とか必要ない"ってことはないんだとあたしは思うの」
「だから」と先輩は言葉を続けた。
「真白ちゃんも、尻込みなんてしてないでやりたいことはやったほうがいいよ?」