ちぐはぐ遠距離恋愛

サナギと蝶




「……ってことで、後期の学級委員は大野で決定した」


一時間目の学活の時間。

舞に投票することができなくなった今、あたしに過半数を超える票が集まったらしい。

(めちゃくちゃ疑問なんだけど……)


状況の補足をすると、
学級委員は男女共に一人ずつ、クラスの全員から投票される。

今までは舞だったが、生徒会に所属してしまったら学級委員にはなれない。

男子は同じく北守[きたもり]になったが…


さきほどの言葉通り今回はあたしらしい。



「先生、是非とも推薦理由をお聞きしたいんですが?」


こめかみをピクピクさせながらあたしは尋ねた。


「女子はほぼ全員大野だ。男子からもまぁ…あるな」


このクラスは男子より女子が多いから、それで決まったってこと。


「理由は…だな。おぉ、これが一番多いな」


先生はそう言ってあたしを見つめた。


「男子にも女子にも隔たりなく注意できる!なによりそこらの男よりカッコイイ!!」


先生的にはきっと、女子の真似をしたんだと思うが…

それは中年親父の変態ボイスとして処理された。


ま、それは置いといて…


「だとよ。人気だな大野くん」

「先生までケンカ売るんですか?」


あたしの睨みに慌てて首を振る先生。

ゴホンと一つ咳ばらいをし、また喋りだす。


「じゃあよろしくな新学級委員!」


そう言われ、仕方なく前に出た。



< 308 / 420 >

この作品をシェア

pagetop