ちぐはぐ遠距離恋愛



――――――――


「遊ぶだけ?」

「そう!!」

「へぇ、何で男子も一緒なの?」

「それは俺もわかりません」



自信満々に手を挙げた山内に……


「嘘つけ、この野郎」



あたしは睨みつける。



「本当だよ!!」

「どーこにそんな理由があ、る、の、か、な」

「お…落ちつけ!な!」

「だったらホントのこと言えよ!」

「ホントなんだよ〜」

「男のくせに泣くんじゃねえ!!」

「泣いてねぇよバーカ」

「あ?馬鹿はどっちだよ!!」



あたしは山内に重い蹴りを入れた。



「って…ぇなぁ!!」



仕返ししようとする山内を舞が止めた。



「女子に手あげないの!」

「こいつなんか女子じゃねえよ!!!!」




山内の声のでかさで、廊下中にそれが響き渡った。



だから学年中の視線が注がれる。



中には笑い声だってあった……。



(………っ、諒太の目の前なのに)



あたしの斜め先には苦笑いをした諒太がいる。




「おめぇは声がでけぇんだよ!」

「これが売りなんだよ!」

「かわいそう…」



依弥が呟く。



「てか、お前も否定しろよ!」




山内の言葉にあたしは忘れかけていた奈緒美たちに目を向ける。




「う………」

「そんなかわいい顔してもダメ!!」



あたしは腰に手を当てた。



「真白、怖くない」

「は?」

「だって……小さいもん」




「ブハッ」




笑ったのは諒太。


(今のは、絶対あたしのことで笑ったよね?)




「………………」




黙り込むあたし。






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