ちぐはぐ遠距離恋愛



「やったぁ!!夏休みぃ!!」



奈緒美がそう言いながら登校してきた。


「朝からうるさい」

「依弥も嬉しくないの?」

「別に」

「出た、依弥様のクール」

「てかホントに元気だね」

「真白まで…」



奈緒美がつまらない顔をして言った。



「大野〜」

「………っ」



振り向くとそこにいたのは陵本。



「な、に?」

「これ」



渡されたのは紙だった。

陵本はすぐにあたしの元を離れていく。



「何?ラブレター?」

「んなわけねぇよ」



奈緒美を妨げて開けたそれは、陵本のお母さんからあたしのお母さんへだった。



「なんだー、つまんないの」

「つまんなくない!」




(はぁ…)




奈緒美がこんなんだからいつもこんな調子。

男子が来る度に奈緒美が告白じゃないかと疑うもんだから、

あたしもあたしで、いちいちヒヤヒヤハラハラだ。


でも結局『ゲームの攻略法』や、『アニメ、漫画の話題』とかで…。



いまんところそんな話は一ミクロも出てきてない。



(やっぱり、ただの占いだね。当たんないじゃん)



先輩や、奈緒美の意見もだんだん説得力が弱まってきて、

今ではそんなふうに思ってる。




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