無口でクールな転校生。
消し終わると、笹本さんは鞄の中に教科書を入れ始めた。



もしかして、自分のことを後回しにして手伝ってくれたのか…?




「ありがとな、笹本さん」



お礼を言うと、笹本さんの動いていた手が一瞬止まった。



「別に。」



いつもながら俺を見ずに返事を返し、再び鞄に教科書を入れ始めた。



「なぁ、なんで笹本さんはこっちに引っ越してきたの?前の学校、公立だったんだろ?」



勇気を出して話し掛けてみた。



「…別に」



予想通りの返事だったけど、黒板消すのを手伝ってくれたのが嬉しくて、そんな冷たい返事でもついにやけてしまう。

< 28 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop