若恋【完】


「毅はなかなかに勘が鋭いな」

奏さんは仁お兄ちゃんから差し出されたタバコを右手に挟み笑った。
榊さんがライターを出すと奏さんが目で断った。

「悪いな、タバコはやめたんだ」

「禁煙ですか?」

禁煙?驚いた。
奏さんがタバコをやめるなんて思いもしなかったけど。

「ああ、決めたんだ」

わたしをちらっと見てフって笑った。

「りおも毅もそこに座れ」

「はい」
「う、うん」

床に転がった鈴を拾い、毅さんと三人掛けソファーに腰を下ろした。

「毅、榊が撃たれたのは知っているな?榊が動けるようになるまでは仁と一緒にりおを護衛してもらう」

「はい」

「りおは俺のものだということは頭にいれとけ!こいつに何かがあればただじゃおかない」

はい。

威圧感がジワジワと増して、奏さんの目付きが鋭くなった。



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