若恋【完】
「悪かった…こんなふうに巻き込んで」
わたしを抱き抱えてた腕が熱を増して力がこもった。
「ち、違うの…」
この人は何も悪くない。わたしが勝手に飛び出しただけ、何も悪くない。
「わたしが勝手に、」
「あんたがいなかったら俺は死んでた。あんたが俺を庇わなかったら、俺は…確実にあの世行きだった」
「それは」
「あんたが俺の前で腕を広げてくれなかったら命はなかった」
「………」
沈黙が車内に落ちた。
「若、あと3分程で成田のところへ着きます」
「わかった」
涙を流したわたしの頬をシャツでそっと拭いてくれた。
「そういえばまだあんたの名前を聞いていなかったな」
わたしを見て名前を告げるのを待つ。
「天宮(あまみや)、りおです」