若恋【完】
その時、車が止まった。
「若、着きました。成田の方は用意が出来てます」
「もうひとりの医者は?」
「もうすぐ到着するそうです」
開け放たれたドアからわたしを抱えて『休診』の札をものともせず院内へと突き進んでいく。
「成田、頼む!」
叫ぶと、奥の部屋から声がしてひょいと20代後半の男の人が顔を出した。
「おや、女の子じゃねえか。運ばれてくるのはてっきり野郎かと思ってたが」
目を丸くする。
「奏が自ら運ぶなんてねぇ」
意味深に頷き口角を上げた。
「つべこべ言わずに早くやれ」
「おー、こわ。はいはい。奏。お嬢さんをここに座らせて上着を脱がせてくれ」
急に真剣な顔になった。