若恋【完】



夜明け前。



丸眼鏡さんが静かに眠る顔を見つめる。

穏やかに笑みさえ浮かべてるように見える横顔。

そして、丸眼鏡さんの最期の言葉。

『向こうで、むすめ、に、会えるで、しょうかね』


奏さんから少しだけ聞いたのは、数年前に出会った無邪気な少女がヤクザの抗争に巻き込まれて命を落としたって話だった。

その少女が丸眼鏡さんのお嬢さん。


「娘さんのとこに行こうね」

お別れをして顔に白い布をかける。



ふと。

丸眼鏡さんの所持していたものなんだろう、手帳や財布が脇に置いてるのが見えた。

大事にされていたらしい手帳を手に取り最初の一頁を捲ると。



『大好きな奏さんと』


一枚の写真が。

中学生くらいかな?
そっぽを向いた奏さんと無邪気に笑う少女が写っていた。



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