若恋【完】
「榊さん…」
「この世界は強いものだけが生き残り弱いものは消え去るしかないんです」
「………」
「わたしたちは強くなければならない。特に若はいつだって強さを示していなければならないんです」
「………」
「りおさん…若を支えてください。わたしたちには見せない若の弱さを受け止めてください」
「………」
「いくら敵だ、憎いと思ってもわたしたちだって人間です。ひとを撃つに躊躇いがないわけじゃありません。撃つ瞬間と撃った瞬間には気が狂いそうになります」
「………」
「そして、血で汚れた両手を見て悪夢を見るわけです」
「…………」
「今回はりおさんを狙ったりりおさんの家族を狙ったりと若の神経を逆撫でした龍神会がいけなかったんですけどね…それも今夜で決着がつきます」
そう言いきった榊さんはさっぱりしたような表情をした。
「若が戻ってきたら…よろしくお願いします」