若恋【完】
「親父、話したいことがある。入ってもいいか?」
奏さんが廊下に膝をつき正座をして障子の奥に声を掛けた。
わたしも一緒に並んで座り障子の奥の客間からの声の主の様子をうかがう。
「入りなさい」
奏さんよりも低い声がした。
ふたり中にはいり正面を向くと、作務衣を着た白髪混じりの男性がひとり庭の方を向いて座禅を組んでいた。
「彼女との結婚を認めてほしい」
いきなりの奏さんの直球!
もっと切り出し方っていうものがあるでしょう!
わたしとの付き合いに反対してるって知っていたのにそれはないでしょう〜
「許さんと言ったら?」
奏さんのお父さんはわたしたちを、わたしを振り向きもしない。
そのままの姿勢を崩すでもなく庭の方を向いたままだ。
「許してもらうには?」
「わたしを倒すしかないな」