若恋【完】
分厚い門扉が開かれてて。
奥は真昼のように明るくて屋敷中の電気がついてるみたいだった。
「行くぞ」
正面から堂々と奏さんが入っていく。
わたしもケーキを持ってその後ろをちょこちょことついていく。
すごい広い玄関で、薄いピンクの和服を召した女性がわたしたちを出迎えてくれた。
「母さん」
ええっ!?
母さん?
奏さんのお母さん!?
奏さんの一言にあわてて頭を下げて、「天宮りおです」と名乗ったら、
「固い挨拶はなしよ」
ね?
って、奏さんのお母さんが目配せして笑ってくれた。
奏さんのお母さんってことは少なくても50歳以上なんだろうけど、どう考えても40歳ぐらいにしかみえない。
「あの、これお土産です」
若い奏さんのお母さんにケーキを手渡すと、にっこりと微笑んだ。
「奥の客間でお父様がお待ちよ」
奏さんのお母さんが告げた。