若恋【完】


「奏、わたしに勝てるか?」


奏さんのお父さんが揶揄して笑い刀を下げる。


「勝って認めてもらう」

「負けたらどうする?」

「負けない、負けるわけにはいかない」



息を整える間にふたりが会話をする。



そしてまた打ち合う。

ひとつ筋を見誤りすれば胴が割れてしまうかもしれないのにふたりは刃を交えるのをやめない。




あ!!



奏さんのお父さんが奏さんの力に押されて体勢を崩して―――。

奏さんの振り下ろした刃がお父さんに迫った。



「!!」

「り、おっ!」



体が勝手に動いて。
足が前に出る。



転がるように前に出たわたしの上で奏さんが叫んだのが聞こえた。

奏さんがスローモーションで刀を投げ捨てる。



「りおっ」

わたしの名前を呼んでる。


「りお!」






―――奏さんが呼んでいる




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