若恋【完】
「来るな!!」
鋭い叫びにビクッと立ち止まる。
奏さんが本気でお父さんに向かいあってる。
キラリ光る構えた刀がわたしが止めようとするのを阻む。
「奏さん…」
「俺は負けないから」
もう止められない。って奏さんの瞳を見たらわかった。
だけど。
ガン!
時代劇で見る刀がぶつかり合う音って偽物だったんだ、鈍い音が響いた途端に体が拒否反応を示して足が震えた。
ガキッ、ガチッ
シュル
風を、空を切る音が響く。
ビッ
変わった音がした瞬間、奏さんの白いワイシャツに血が滲んだ。
「きゃ、」
思わず悲鳴をあげそうになって口を押さえた。
「こんなの大したことねえ」
奏さんの腕が少し切れたんだろう。一筋流れてくる紅い血。