危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
「あ、いや、何もなければいいんだけど……」


よほど私の目付きがきつかったのか、章さんは慌てたような表情でそう言った。

そして、


「あいつは手が早いから……」


と続いた言葉は、小声だったけどしっかり私の耳に届いた。


涼って、そんなに手が早いの?

確かに私は会ったその日にキスされたけど、そんな事信じたくない……




「喫茶店に寄って行かない?」


章さんにそう言われてはじめて、私は駅前まで来ていた事に気が付いた。


「すみません。今日は早く帰りたいので……」


私は精神的に疲れてしまい、本心から早く家に帰りたいと思った。


「じゃあ仕方ない、ここで言うよ。綾子ちゃん……」


私はいきなり章さんに肩を掴まれ、正面を向かされてしまった。そして……


「君って意外と可愛いね。付き合ってあげてもいいよ?」


と、章さんは言った。

ニヤッと笑いながら……


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