危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
「へえー、お姉ちゃん、“涼”って呼んでんだ? ワタシも昨日からそうしてるよ」


「………」


言葉も出ず、唖然とする私に向かい、冴子はフッと余裕とも蔑みとも取れる笑みを見せ、リビングの方へ去って行った。


涼の用事って、冴子とのデートだったんだ……


つまり二人は、付き合いだしたって事?



何を食べたかも覚えていない夕飯の後、私はベッドに仰向けに寝転んだ。


見上げた先の天井は、焦点が定まらずにぼやけたまま。

何もする気になれず、何も考えられない。たぶん脳味噌が、あるいは心が、それらを拒んでいる。


強烈な睡魔に襲われ、目を閉じた時、部屋をノックする音がした。


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