危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
涼にとって、キスなんてその程度のものなんだ……


きっと、誰とでも簡単にするのね。私とも、冴子とも……


それなのに、その度にドキドキして、私は涼の特別なんだと勘違いして、その気になってた。


私って……バカみたい。


私は鞄を持つと、「さようなら」と言い、涼に背中を向けた。

すると涼は、

「綾子、今のは……」とか言いながら、私の腕を掴んだ。


私はその手を振り払い、

「触らないで!」

と叫んだ。


「綾子……?」


「もう、気安く私に触らないで!」


もう一度叫ぶと、私は涼の部屋を飛び出し、階段を駆け降りて行った。


しかし涙で足元がぼやけ、1階に降りきる寸前、私は階段を踏み外してしまった。


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