危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
いつの間にか私は意識を飛ばしてしまい、眠っちゃったみたい。


甘えたくて、隣で寝ているはずの涼に手を伸ばしたら、その手は虚しく空を切っただけだった。


「涼……?」


目を開けて寝室を見渡すと、しっかりと服を着た涼が立っていた。


「ごめん、起こしちゃったかな?」


「もう行くの?」


「うん、悪いけど。遅れると監督が煩いから。イタリア語でまくし立てるんだ」


そう言ってフッと笑うと、涼は私に近付き、ベッドに腰を降ろした。


「ごめんな、いつも慌ただしくて」


涼は私の髪を撫でながら、優しい顔でそう言った。


「ううん、いいの。忙しいのに、合間を縫ってこうして会ってくれるだけで、私は嬉しいから」


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